2014年5月5日作成

さくらVPSでPlan 9ネットワークを構成してみた

認証サーバの構成

カーネルのインストール

まずはpcauthカーネルのインストール。 ですが、標準のpcauthはetherigbeを含んでいないので、 自分で足してからコンパイルが必要です。 pcfカーネルあたりを真似て、etherigbeの行をpcauthへ足しましょう。

auth% cd /sys/src/9/pc
auth% mk 'CONF=pcauth'
auth% 9fat:
auth% mv 9pcauth /n/9fat/

いつものようにplan9.iniへ追加します。

bootargs=tcp ether /net/ether1 add 192.168.1.7 255.255.255.0
sysname=auth
fs=192.168.1.3
auth=192.168.1.7
console=0 b115200 b8 pn s1

サービス準備

次に/cfg/auth/cpurcです。 認証サーバなのでauth/keyfs等を動作させます。

ip/ipconfig -x.alt -g $ipgw /net.alt/ether0 add 133.242.bbb.bbb 255.255.254.0
aux/timesync -f

ndb/dns -r
auth/keyfs -wp -m /mnt/keys /adm/keys >/dev/null >[2=1]
auth/cron >>/sys/log/cron >[2=1] &
auth/secstored
aux/listen -q -t /cfg/$sysname/service.auth -d /cfg/$sysname/service tcp

ndb/cs -x.alt -f /lib/ndb/external
ndb/dns -rx.alt -f /lib/ndb/external
aux/listen -q -t /cfg/$sysname/service.alt.auth /net.alt/tcp
sleep 3

service.authservice.alt.authtcp567をコピーしておきます。

namespaceはファイルサーバと同じ。authファイルの更新も。

auth% cat /cfg/auth/namespace
bind -a #l0 /net.alt
bind -a #I1 /net.alt
auth% cat /lib/ndb/auth
hostid=bootes
	uid=!sys uid=!adm uid=*

終わったらコントロールパネルから再起動。

IPプロトコルスタックについて(余談)

Plan 9はIPプロトコルスタックを分ける事ができます。 プロトコルスタックはカーネルデバイス#I0から#I15まで存在します。 今回構成しているサーバは/net/net.altを分けて使っています。 これは内部からのみアクセスするサービス(/net)と 外部からのアクセス(/net.alt)を分ける事が目的です。 さくらVPSはルータやファイアウォールがありませんので、このようにしています。

このプロトコルスタックを使い分ける時は、 通常tcp!host!portとするところを、/net.alt/tcp!host!portとします。 アドレスが/からはじまらない場合は/net/が使われます。 アドレスのルールはannounce(2)に記述されています。

最後にplan9.iniのbootargsエントリとip/ipconfigは、 若干-xオプションの挙動が異なります。 ip/ipconfigは、以下どちらも同じように/net.altを使います。

ip/ipconfig -x .alt
ip/ipconfig -x /net.alt

これはsetnetmtpt(2)の動作で、/からはじまらない名前は /netという文字列を名前の先頭に加えるからです。 しかしbootargsエントリは、

bootargs=tcp -x .alt ...
bootargs=tcp -x /net.alt ...

なぜかカーネルの中で、無条件に/netを先頭へ追加していました。 なので上の例は動作しますが、下の例では/net/net.altが無いのでこけます。

再起動とユーザ登録

VPSコントロールパネルから再起動させて、9pcauthカーネルで起動させます。 ファイルサーバと同じ内容でbootesのパスワードなどを設定して、 認証サーバ上にもユーザを作成して終わり。

auth# auth/changeuser -p bootes

secstoreも使うなら、secstoreユーザの登録も忘れずに。

auth# auth/secuser -v bootes

CPUサーバの構成

だいたい他のサーバと同じですが、CPUサーバの場合は 内部だけで閉じたいサービスが無いので、 両方のNICを/netにまとめて使うようにします。

カーネルのインストール

コンフィグが違う以外はだいたい同じ。

cpu% mk 'CONF=pccpu'
cpu% mv 9pccpu /n/9fat/

plan9.iniに以下を追加。

bootfile=sdC0!9fat!9pccpu
bootargs=tcp -g $ipgw ether /net/ether1 add 192.168.1.23 255.255.255.0
sysname=cpu
fs=192.168.1.3
auth=192.168.1.7

namespace/netしか使わないのでシンプルです。

cpu% cat /cfg/cpu/namespace
bind -a #l /net

cpurcも同じように/netしか使いません。

cpu% cat /cfg/cpu/cpurc
ip/ipconfig ether /net/ether0 add 133.242.ccc.ccc 255.255.254.0
aux/timesync -f
ndb/dns -r
aux/listen -q -d /cfg/$sysname/service tcp
sleep 3

cpuサービスを実行させるために、tcp17010/cfg/$sysname/serviceへコピー。

cpu% cp /rc/bin/service/tcp17010 /cfg/$sysname/service/

再起動

コントロールパネルから再起動して、bootesを登録したら終わりです。 これでdrawtermからアクセスすれば動作するはず。